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クッキー

   

先日のレッスン、いつものようにKちゃんがひとりでレッスン室に入ってきました。Kちゃんはヴァイオリン以外にもピアノをとてもがんばっている生徒さんです。10月にもピアノのコンクールに出場し、次は名古屋でも本選にでることになったと嬉しそうに報告してくれました。ヴァイオリンを始めて2年半ほどですが、あっという間にスズキメソッドの5巻まできてしまいました。てっきり5年ぐらい経ったのかと勘違いするほどです。やはりピアノをしっかり勉強しているおかげで、自分で楽譜をしっかり読むことができるということが大変な力になっていると思います。実は自分自身が楽譜を読まない癖があったため、フランスに留学してから楽譜の大事さを痛感しました。楽譜を読むことは作曲家が意図したものをどれだけ汲み取れるかということですし、譜面の行間にあるものを感じ取るということが本当に大事だと思います。Kちゃんはすでにそうした技術をしっかりと学び始めているんだなあと感心します。

そんなKちゃんが、レッスン終了後、がさごそっと何かを出してきました。なんと、素敵なラッピングをした包。とても上手に作ったパッケージに、おしゃれな紐をアレンジした小包風で、Kちゃんが手作りしてくれたものだそう。ちょっと恥ずかしそうにクッキーを焼いたと言いながら渡してくれました。その嬉しそうな恥ずかしそうな笑顔がまたとてもKちゃんらしい。最近あまり世間ではあおり運転やら台風やら悲しいニュースが多く、また雨続きでどんよりしていた心がおかげで一気に明るくなりました。レッスンは毎回、生徒さん達から色々な意味で刺激を受けるので、楽しみでなりません。今回はそれにサプライズ。

早速いただこう、と家族にみせびらかしながら開けようとしたのですが、開けるのが勿体ない。開けてしまうとこの感動を伝えられなくなるし、どうしようかなあ、と迷いに迷い、写真をとっておこう!と思いつきました。(思いつくのが遅いです)開けてみて、また感動!美味しそうなクッキーが入っていました。ハロウィンのかぼちゃ、ねこちゃん、帽子のおばけなど、すごく丁寧に作ってあるのがよくわかります。細かいところがとても綺麗で、さすがKちゃんのこだわりが伝わってきます。開けるのももったいない、食べるのはもっと勿体ない。というわけで、じっくり鑑賞した後、とりあえずは、一旦もとにもどして、また翌日までとっておきました。翌日、とうとう我慢できずにおやつに頂きましたが、これまた美味しい。ありがとう。Kちゃん。

たまに、Kちゃんのようにピアノ・ヴァイオリン両方を一生懸命練習しているお母様方やこれからはじめようと考えていらっしゃるお母様方からヴァイオリンとピアノ両方やったほうがいいのか、どっちかに集中したほうがいいのでしょうか、というような質問を受けることがあります。必ずしも納得して頂けるような回答ができるわけではないのですが、どちらも全く音の出し方が違う楽器であるということです。その違いをすんなり受け入れられる場合はそれで全く問題なしですが、受け入れられるまでには混乱するかもしれません。ピアノは指を一つ一つしっかり上げて一音一音をハンマーで叩く仕組みで音を出しますが、ヴァイオリンは声と同様に弓で音のラインを作っていきます。また左手の指は先のことを考えて指を押さえっぱなしにしたり、先まわりして押さえたりしないといけないため、離してはだめです。右手は左手とは動かし方が全く違い、ある程度年数が経ってこないと弓はうまく使えません。思うように音が出ないので、毎回皆涙を浮かべながらレッスンをしています。きっとピアノはピアノで涙をながしながらレッスンを受けることがあるはずですが、そうした楽器としての違いに慣れてしまえば音楽を体で表現することは同じだと思います。また、ヴァイオリンはメロディを主に奏でる楽器である一方、ピアノはソロはもちろん、伴奏したりとオーケストラの代わりにもなってくれます。ヴァイオリンを勉強すると、ピアノソロを弾く時にメロディラインの出し方の意識がよりはっきりして、歌うということにより敏感になれるのでは、と思います。また、ヴァイオリンだけでなく、ピアノができると、伴奏の方にこういうふうにして欲しいということがより明確に伝えられるように感じます。最初は混乱するかもしれませんが、相乗効果はすごいものだと思います。一緒にデュオをしたりすると、お互いの楽器の違いのおかげで新しい発見があり、これもアンサンブルをすることの楽しみの一つであります。ユリア・フィッシャーさんなどは、ヴァイオリンだけでなく、ピアニストとしても演奏されていますし、これだけと限定してしまう必要はないと思います。人間の可能性は無限大です。

 -ヴァイオリンのレッスン


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  • 愛知県出身。東京外国語大学ロシヤ語学科卒業。卒業後商社勤務を経たのちに音楽家に転身したという異例の経歴を持つ。
    2歳半よりヴァイオリンを始めるが15歳で中断。音楽とは一切関係のない生活を送っていたが、退職を決意し、2007年に渡仏。エコールノルマル音楽院(パリ)に入学し、ヴァイオリンをソランジュ・デッサンヌ氏、室内楽を故マリ=ピエール・ソマ氏に学ぶ。
    2011年11月に帰国。2012年2月より東京・大阪を中心に室内楽の演奏活動を積極的に行うと同時に、愛知県にて後進の指導にもあたっている。