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ニューヨーク訪問~建築と音楽~

   

10月初旬から中旬にかけて、ニューヨークに行ってきました。

目的は、フランク・ロイド・ライト設計の落水荘をみること、メトロポリタン歌劇場でオペラを観ること、カーネギーホールでコンサートを聴くこと、大好きなヴァイオリン二ストの友人に会うこと。メトロポリタンのトスカとギル・シャハムのチケットがとれたのは幸運だった。私は小学生の頃から建築やインテリア雑誌をみるのが大好きで、普通の小学生が買う「りぼん」や「マーガレット」のような漫画月刊誌よりもよく買ったものだった。今から思うと不思議な小学生であったに違いない。トイレを替えるならサイホンゼット式、などと母親に力説していたことを覚えている。

10月初旬のニューヨークは大変素晴らしい天気に恵まれ、少々肌寒いけれどかえって心地よい。日中は暑いぐらいの日差しの中、散策しならがら改めてニューヨークの町並みをまじまじと見てみると、とても新鮮である。今回は2回目となるが、前回とはまた見え方が違う。ニューヨークというと、摩天楼=近代的なビルばかりというイメージを持っていたが、意外にも1900年代初めや1920年~30年代の建築も多い。装飾が施された味のあるビルが結構そのまま使われている。いやいや、なんと第2次世界大戦前ではないか。既にその頃、このような高層ビルを建てる技術・資金力があったわけで、小学生の女児に竹やりを持たせて一億層玉砕などと叫んでいた状況の日本がかなう相手ではなかったろう。また、大都市にもかかわらず、ほっとできる場所も多い。アメリカに興味があるわけではなかったが、改めてパワーを持っている超大国であり、歴史は浅いだけ文化・芸術を育む努力をしていることがよく分かる。世界中から人がやってくる魅力があるのも納得させられる。

ニューヨーク郊外のリッチな住宅街を見てまわったりもしたが、日本の悲しい住宅事情とは桁はずれにゴージャスである。土地が広いということだけではかたづけられない。街の景観や都市計画など、汚いものが入り込めないようにきちんと規制もされている。汚い看板がごちゃごちゃとした場所はない。こういった豊かさが日本に足りないものだろう。「個人の自由」をはきちがえている。環境が美しくなければ芸術は育たない。見た目の豪華さやお金をかけろという意味でなく、本当の美しさとは、まさにフランク・ロイド・ライトの落水荘や、今回たまたま見ることができたR邸であろう。美しい、とはこういうことなのだ、と肌で感じる。すべてが「調和」していて、人工物であるにもかかわらず自然と一体になっている。京都の佇まいに共通する毅然とした美をみることができるのだ。

もうひとつ、忘れてはならない音楽。パリもそうであるように、最高の音楽を聴こうと思ったら、シーズン中毎日なにがしかやっている。メトロポリタンの音響も素晴らしく、30ドルの席でも十分に楽しめる。休憩中には劇場のすみずみまで観察して建築を楽しむこともできる。赤がとても美しい。階段の手すりの曲線を触っても楽しい。正装した人達を観察するもまた面白い。五感をフルに働かせて触れてみると、体の奥底から嬉しさがこみ上げてくる。ここに住めたら毎日でも劇場やホールに通うのになあ、とつぶやきながら帰途についた。

旅も終わりの日、漸く忙しい友人のヴァイオリン二ストK先生のレッスンにおじゃますることができた。知り合ったのは、かれこれ10年以上前。姉のヴァイオリン教室でヴィヴァルディ「四季」のソリストとしてお招きしたときである。ジュリアードで勉強され、今でもカーネギーで演奏会をされる。音の美しさ、優しさは言葉にできないほどである。音階を弾いていらっしゃったのを聴いただけで腰が砕けてしまった。残念ながら活動はNY中心なので、なかなか演奏を聴く機会がない。K先生のレッスンは人気で、予約待ちができているほどだそうである。こんな素晴らしいヴァイオリンニストにレッスンしてもらえるとは。。。心底NYが羨ましかった。

今回は色々な意味で考えることの多かった旅であった。同時に、空間の美しさ、そして美しい空間の中で味わう音の美しさ。美しい三昧のNYだった。

カーネギーホール

カーネギーホール

 -その他


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  • 愛知県出身。東京外国語大学ロシヤ語学科卒業。卒業後商社勤務を経たのちに音楽家に転身したという異例の経歴を持つ。
    2歳半よりヴァイオリンを始めるが15歳で中断。音楽とは一切関係のない生活を送っていたが、退職を決意し、2007年に渡仏。エコールノルマル音楽院(パリ)に入学し、ヴァイオリンをソランジュ・デッサンヌ氏、室内楽を故マリ=ピエール・ソマ氏に学ぶ。
    2011年11月に帰国。2012年2月より東京・大阪を中心に室内楽の演奏活動を積極的に行うと同時に、愛知県にて後進の指導にもあたっている。