今年の夏は、本当に暑かった、という言葉では言い表せないぐらいの暑さでした。拷問に近いものが。

人間だけでなく、楽器にとっても暑さは大変辛いものです。一日中エアコンを入れっぱなしにするわけにもいかず、ヴァイオリンも30度ぐらいの気温にさらされております。こういうときにエアコンをつけてレッスンを始めると、やはりどの生徒さんの楽器もとても音が狂っています。また、手に汗をかきながら練習すると、弦は普段より劣化が激しくなります。楽器は意外と体育会系なもので、練習するとすぐに全身汗だくになってしまいます。先日、生徒のお母様から「先生、調弦してるんですが、いつまでたってもあがっていきません。」との電話をいただきました。弦を替えてまだ1ヶ月も経っていないので、まさかと思いましたが、楽器を持ってきていただくと、案の定、弦がきれていました。とても練習を熱心にされる生徒さんで、すぐにでも張り替えなければということで、翌日新しい弦に張り替えました。よしよし、と思っていた矢先に、またお母様から連絡が入りました。「また、切れちゃいました。。。。」日本の夏、恐るべし、です。

そうこうしているうちに、既に9月も下旬、シルバーウィークも過ぎ、快適な湿度・温度になりました。散歩をすると、ふと金木犀の香りが感じられ、妙にセンチメンタルな気分にもなります。空気が乾燥すると、心なしか音の響きは伸びていくようで、夏の厳しさを思うといっそう嬉しい季節です。芸術の秋の始まり。みなさんもぜひヴァイオリンの音に触れてみませんか?